強烈に臆病な「リボン状のハゼ」
三日間でかなり撮れたと判断したので、残りの二日間はクォリティーをあげることと、リスクを恐れないことを意識して撮影に望んだ。その第一は20cm~30cmと大型でありながら、強烈に臆病な「リボン状のハゼ」である。そのうえこいつは砂地というより「泥」にすんでいるので、刺激を与えないように近づくのと同時に、にじり寄る際に自らが巻き上げる煙幕を最少にするのが至難の業なのである。
実はコイツを撮影するのは初めてだった。すごく臆病と聞いてはいたが、ハゼの撮影にはいささか自信がある私には(一応、「ハゼガイドブック」という本を出しているので…)、「まあ何とかなるでしょ」という思いがあったのは否めない。しかし、コイツの臆病さは驚くほどで、少なからず私が今まで撮影した被写体の中で一番に認定できる程なのである。
2メートルに近づくにも慎重でなければならないが、その先は牛歩でもダメ、恐らく1分間に2~3センチぐらいの「微動だにしない動き」をせざるを得なかった。結局、2メートルから1.2メートル?ほどに近づくまでに、○十分の時間が掛かってしまった。それでも本当に良い写真を撮るのなら、あと20~30センチ近づきたいところだったけど、これ以上近づくとあきらかに巣穴に入ってしまうので、多少クリアーに写らないことを覚悟して、静かにシャッターを切った。
そんなトライを4ダイブで十数回し、何とか取れたのが4~5回。そのうちのほとんどは一個体だけの写真で、ペアで捉えたのはわずかに一回だった。
追伸
結局、五日間で1,722分潜ってしまいました。ゲップ。
(写真)リボンゴビー沢山のポイント。やっぱり長閑。
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